世界経済と岩手県―大連サマーダボス会議に参加して―
6月25日から開催の、中国大連市でのサマーダボス会議に招かれ、参加してきました。スイスのダボスで年次総会を開催する、世界経済フォーラムの主催です。中国、ポーランド、べトナムの首脳による演説や、経済人や研究者によるパネルディスカッション、セッションをいくつか聴講しました。
世界経済フォーラムは、新しい経済成長のあり方として、①イノベーション(技術革新)性に加え、②インクルーシブ性(差別や格差を防ぐこと)、③持続可能性(環境に優しいこと)、④強靭性(防災など)と共にあるべき、ということを提唱しています。国連のSDGsと同様の方向性です。「いわて県民計画」の方向性とも合致しています。
私は、世界経済フォーラムのマネージング・ディレクター、ミレク・デュセク氏と会談しました。デュセク氏は、ダボス会議やサマーダボス会議の運営責任者です。デュセク氏には、前日の歓迎パーティで、ニューヨーク・タイムズ紙が盛岡を選んで報じた件を伝えていましたが、デュレク氏は、一晩のうちに、その記事や記事を書いたクレイグ・モド氏のエッセイも読んでくれて、盛岡は若い活気がある良い街だそうですね、と言ってくれました。岩手県の東日本大震災復興についても、大変参考になる、と評価いただきました。
私は、①イノベーション、②インクルーシブ、③持続可能性、④強靭性、の現場がある地方自治体こそ「新しい経済成長」の推進役である、と述べました。
「世界経済」という視点で考えて、気候変動、パンデミック、差別や格差による分断、国家安全保障上の対立リスク、等々を解決していくほうが、経済成長しやすい、豊かになりやすい、という考え方が、サマーダボス会議に集う経済人、研究者、政府関係者などに共有されていました。
世界経済は、ほぼ日本だけを例外として、この30年、大きく成長しており、パンデミックで後退したのですが、回復のためにも、より課題解決型の経済成長を目指そう、となっています。日本が成長できなかったのは、市場おまかせ型の新自由主義的経済政策で、「世界経済」をよく見てこなかった、課題解決型の新しい経済成長を目指して活躍する人や組織をよく見てこなかったからではないでしょうか。岩手県は「世界経済」と共にあり、その新しい経済成長に貢献しながら、自らのウェルビーイング(幸福)を高めていきたいと思います。(終)