タニタ元社長の、都道府県から日本を再構築する大構想
タニタ元社長の谷田大輔さんから、『地域経済を100倍にする経営戦略』という自著を献本いただきました。各都道府県が主体となって、農業や水産業、そして再生可能エネルギーに力を入れるという構想で、岩手県の考え方と共通する部分もあるな、と思いました。
農業や水産業は、自給率100%は当たり前、めざすは1000%(国内消費の10倍を輸出する)と大風呂敷をひろげています。高層ビルでの水耕栽培などの大規模化や、大量保存のための技術革新を想定しています。1000%はともかくとして、そもそも日本は水が豊かで、地球上でも農業に向いている国で、水産業に向いた海洋国でもあり、世界的な食糧不足の見通しからしても、日本が農業や水産業を大きく伸ばしていくというのは、理にかなったことです。
再生可能エネルギーは、まずはエネルギー自給100%を達成し、そして輸出もできるようになるべき、という主張です。元東京大学総長の小宮山宏先生からも、「岩手県は、再生可能エネルギーで、エネルギー自給100%をめざすべき」とハッパをかけられています。海外からのエネルギー輸入に頼らなくていいというのは、経済的にはもちろん、安全保障上も大変良いことです。日本で、それは可能であり、岩手県は条件に恵まれています。
谷田さんは、日本は弓状に長い国土で、地域によって多様性があり、統一的に治めるのは難しく、特に統一的な産業振興は難しい、都道府県単位で臨むのが良い、と述べています。私も同感です。岩手県としても、農林水産業と再生エネルギーの振興に、主体性を持って、大いに力を入れていきたいと思います。
ちなみに、谷田さんは、医療は国有化するのが良い、と述べています。低運営費で済み、治療費をゼロにしながら医療費を大幅に減らせる、と説明しています。全てを国有化というのは極端だと思いますが、医師の不足・偏在に悩む岩手県としては、地方の医師を確保して地域医療を守るため、医療の公的な面を強化すべきと主張してきました。県立病院がずば抜けて多い岩手県は、医療のかなりの部分をすでに「県有化」しているともいえるわけで、谷田構想と方向性を共有しています
いずれにせよ、都道府県が、より主体性を持って、域内を振興し、国の制度変更の提案をし、日本を再構築すべき時代だと思います。(終)