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出生数急減の原因

出生数急減の原因

令和4(2022)年の岩手県の出生数が、対前年684人減の5,788人と、約10.6%減り、全国最高の減少率だったという衝撃的なデータが、発表されています。

2020年、2021年の減少率は共に3.7%だったので、昨年の出生数は急減と言えます。この3年間、15~49歳の女性人口の急減はなく、20歳代前半の女性の転出超過は、むしろ縮小しており、出生数急減の原因を、出産可能な女性数の急減に帰することはできません。

岩手県で、この3年間に急減しているのは、婚姻数です。婚姻数が、2020年に急減し、その後2年間、婚姻数は回復せずに減り続けています。このことから推測できるのは、2020年の婚姻数の急減とその後の減少が、2022年の出生数急減の原因ではないか、ということです。2020年、令和2年は、日本における新型コロナウイルス流行の1年目です。この年に岩手県の婚姻数が急減し、コロナ2年目、3年目においても、回復基調が見られないことが、2022年の出生数急減の原因ではないでしょうか。

コロナ禍で、様々な行動制限があり、行動の自粛もあって、経済活動や社会活動が低下しましたが、婚姻や出産も、そのような影響を受けたと思われます。コロナ感染防止のための配慮や、コロナによる収入減などの実質的要因に加え、心理的な要因もあったでしょう。

昨年の出生数の減少率が全国最高だったのは、岩手県民が他県民と比べて、コロナ禍に対して、より慎重になりやすい、ということかもしれません。2020年、コロナ禍の1年目に、岩手県が、都道府県の中で、最後まで陽性者ゼロが続いたことを思い起こさせます。危機的な状況の中で、慎重に構えて個人的な行動を控えるという気質は、それが、岩手県のコロナ感染水準を全国でも低位に抑えることに貢献したのかもしれず、岩手県民の良い所でもあるかもしれませんが、結果的に、少子化を加速している可能性があります。

今、結婚や出産の適齢期を中心に、岩手県民を、経済的、社会的、心理的にエンパワーすべきときです。危機的状況に敏感に反応する岩手県民は、状況の改善に対しても、敏感に反応するのではないでしょうか。心配な時は慎重に、そうでない時はおおらかに。そのような岩手県民の、優しさ、素直さに即した少子化対策、人口減少対策が求められます。(終)

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